あなたは今外国人と取引のある不動産会社で働いていますか?
または今後、仕事上で外国人との接点が増えることが予想されるでしょうか?
国際化が進む中で、これからどうすれば外国人顧客向けのサービスを向上することができるのだろうか、とお考えかもしれません。
ある市場調査では、顧客満足度とリピートビジネス、および肯定的な口コミによる顧客紹介との間に高い相関関係があることが示されています。現在の目の前にいる顧客は目先の売上にとって重要ですが、紹介を通じて将来的に売上に繋がるという好循環を生み出すことも重要なのです。
不動産会社で勤務経験があり、外国人でもある私が、国際的なサービスの質と異文化間スキルを向上させるための 6 つのすべきこと、また、すべきでないことをこちらの記事でご紹介します。
1.相手である外国人の文化や国について否定的なコメントをしないこと(顧客を褒める場合も含めて)
すべきこと:この場合の推奨される振る舞いとは、差別のない態度を取り、すべてのコミュニティに対して敬意を払います。
今から2年前、私がアパートを探していたとき、ある不動産会社の方が、他の国籍の外国人を差別するような発言をしました。悪気はなく私を歓迎したつもりで仰ったのかと思いますが、私はこの発言に非常にショックを受けました。その瞬間、残念なことに、私はこの不動産会社を友達に勧めることはできないと思いました。
2.外国人向けに適している物件かどうかを最初に知らずに、顧客を内見させないこと
すべきこと: 家主が外国人に貸すことに問題がないかどうかを内見前に確認してください。
外国人にとっては、いくら物件を気に入っていても国籍などの理由でそこに住めないと知ることは耐え難い事です。そうならないためにも事前に内見希望者が外国人であること等の要件や属性は確認しておきましょう。
見知らぬ土地で部屋探しをしている外国人は、言語が通じて住み慣れた日本人に比べ不安を多く抱えています。そこで不動産会社のスタッフが出来る最大の努力は、外国人である顧客と信頼を築き、良好な仕事上の関係を築き共感してあげることです。これは、外国人である顧客が何を望んでいるのかを理解し、理想的な物件にできるだけ近づけるためのポイントです。
3. 外国人向けに適している物件かどうかの確認を顧客の前で行わないこと
すべきこと: 不動産管理会社などに電話する必要がある場合は、外国人顧客に会う前に行ってください。万が一、外国人顧客が一緒にいるときに外国人が貸主候補であることの確認を取らなければならない場合は、別の部屋で連絡を取るなどして、外国人顧客の前では確認しないでください。
その理由として、国籍を理由に外国人だからと家主から断られる会話を目の前で聞かなければならないことは、外国人にとって非常に苦痛だからです。
外国人向け物件は珍しいので、「外国人歓迎」物件と出会うまでには5、6 社の管理会社に電話しなくてはならないケースもあります。その確認を外国人顧客の前で行うと、多くの外国人は否定的な感情にさらされ、外国人差別に対するトラウマになってしまう可能性があります。
私は日本にいる間に何度もそれを経験してきましたが、家主や管理会社から人間として見られていないように感じて、とても淋しかったのを覚えています。
4. 質問や対応にあまり時間をかけないこと
すべきこと: コミュニケーションにおいては、返答の速さと、情報の正確さが非常に重要です。できれば顧客に頻繁に連絡を取り、あなたが積極的に取り組んでいることを伝え安心させてください。
外国人のお客様は、日本での不動産の仕組みについて何も知らず、迷っているかもしれません。中には、申請と審査のプロセスに 1 週間以上かかることがあります。また、審査手順の一部は、母国で行われる方法とはまったく異なる場合があります。
審査中も全く連絡を取らないことは、顧客が何が起こっているのかわからず途方に暮れて、顧客の不安を煽ることにもなりますし、その間に、顧客が別の不動産会社に移ってしまう可能性もあるのです。
5.英語の書類も用意すること
すべきこと: 外国人顧客が賃貸契約の手順と、日本での生活に関する基本的な情報を理解できるように、英語の書類と書き方を示したテンプレートを準備します。理解できるだろうと思って、日本語だけの書類を渡すと勘違いが生じる可能性もあります。
私が日本で代理店として働き始めた頃、お客様から「私の郵便番号は何ですか?」「ペットボトルは捨てられますか?マンションに設置された何色のごみ箱に分別しますか?」「温風しか出ないのですが、冷房をオンにするにはどうすればよいですか? 」「洗濯機は何時まで使えますか?」「家賃の支払い方法を忘れてしまいました」などなど!
時間をかけても、外国人向けの文書を準備してください。たとえば、すべての建築規則、物件に関する基本情報、家賃の支払いなどをまとめた英語の文書を作成し、契約締結時に顧客に渡します。
また、日本の家庭や電化製品の使い方を説明している便利な英語のリソースを見つけて、問題が発生する前に顧客と共有してください。
Real Estate Japanは、外国人が家を借りて日本で快適に暮らすためのヒントやガイドを英文で多数用意しています。以下にいくつかの例を示します。(記事は英語です。)
- 日本のゴミの分別方法
- 日本で地震が起きたら
- 日本のアパートで電気をセットアップする方法– 電気 – 英語の連絡先番号
- 日本の家電 英和用語集
- 日本のマンションの駐車スペースを解説
- 日本でアパートを内見する際のチェックポイント
- 日本のアパートのキッチンの説明
- 日本のバスルームの説明
- 1R, 1K, 1DK, 1DLK: 違いは何ですか? どちらを借りるべきですか?
- 転入・出国:市区町村役場での登録手続き
6. 慣れない環境で部屋探しをしている外国人に対する配慮を忘れないこと
すべきこと: 日本で部屋探しをしている外国人は、日本人と同じ知識、基本的なツール、文化的理解を持っていないことを覚えておいてください。
母国にいないこと、言語を話せないこと、身の回りで何が起こっているのか理解できないことは、非常に困難でストレスの多いことです。
初めて日本に来る方は、ビジネス環境で機能するための基本的なツール (銀行口座、電話番号、住所、緊急連絡先など) さえ持っていないため、特に不安でいっぱいです。
また、長期的な家を探している間、ホテルや AirBnB に短期滞在する可能性もあります。どこにどれくらい滞在するか、あるいはホテルの予約で家を見つけるのに十分な時間が得られるかどうかさえ把握できないことは、非常にストレスになります。
外国の顧客は、必ずしも日本の顧客と同じ状況ではないことに注意してください。彼らはまた、日本の方より多くの障害に対して理解し、対応していかなければなりません。一人一人に思いやりを持って接し、その人にとって信頼と安心できる存在になりましょう。
まとめ
海外での生活は刺激的ですが、同時に苦痛でもあります。外国人のお客様は、対応が難しく、余分な時間と労力が必要になる場合がありますが、それだけの価値はあります。
また、一度日本を離れ海外に行くと、自分自信も外国人になるということを忘れないでください。
そうすれば、顧客に共感を持って接し、海外で住居を探す人たちへより良いサービスを提供したいというモチベーションになるはずです。
また、外国の顧客を支援する不動産会社として、あなたは一人ではないことを忘れないでください! 日本ではますます多くの不動産企業様が、この急速に成長している市場に手を差し伸べています。
Real Estate Japan は外国人顧客との取引に役立つマーケティング支援や集客支援を行っています。詳しくはこちらから問い合わせください。
筆者: Johanna (ジョアンナ)
フランス出身、日本在住4年目。以前は都内の不動産会社で勤務、 仲介の経験を活かし外国人市場への集客と営業は得意分野です。不動産分野においても外国人だからと断られることのない、多様性を受け入れる日本の社会と発展を願っています。休日には、旅行やパティシエのカフェ巡りが好きです。 |
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