ここ数年、収益物件を中心に、外国人投資家との不動産取引案件の増加は、ニュースなどで大きく注目されるようになりました。国内の外国人雇用機会も右肩上がりで増えていることから、定住・永住をきっかけに外国人が不動産購入を検討する機会も、徐々に増えているのではないでしょうか?
今回は、弊社の不動産ポータルサイト(realestate.co.jp) において昨年2017年に行われたオンライン調査を基に、日本で不動産購入を行った、または検討している、という外国人ユーザーのアンケート結果を、共有させていただきます。
外国人ユーザーが、不動産購入をする上で“物件選び”の際に重要視するポイント・条件
立地・建物で重要視する条件 | 部屋・内装設備で重要視する条件 |
物件の広さ
ロケーション 近隣の利便性 (飲食店・商業施設など) 間取り 共有部の良好な管理 建物設備 |
風呂・追い炊き設備
備付クローゼット ペット飼育可 オートロック・ダブルロックキー 宅配ボックス 駐車スペース 眺望の良さ |
広さ・立地・利便性などは、特に目立って日本人と異なる点は無いように思います。ただ、セキュリティ面にも風呂・追い焚きといった設備も条件に入っている点は、少し意外な結果でした。購入後に賃貸で貸し出す際、入居者募集の際に有利と思われる条件をリサーチし、人気の高い設備を重視する傾向にあると考えます。
外国人が不動産売買・購入取引においてクリアにしたいポイント
物件の選定と同時に購入の意思が固まったとしても、外国人にとっては馴染みの浅い日本での契約や法律・税金・諸費用といった情報を母国語で得られるソースが少ないのが現状です。
外国人が不動産売買・購入取引においてクリアにしたいポイント
・不動産の所有・利用に関する権利の種類や内容
(共有、準共有、区分所有権、借地権など)
・売買代金以外に支払う費用の種類や内容
(固定資産税精算金、仲介手数料、司法書士報酬など)
・取引時や所有時における租税に関する制度の内容
・重要事項説明の制度
・不動産取引価格情報(その入手方法を含む)
・不動産売買における取引フロー
・媒介契約の制度
・購入した不動産の管理方法や管理にかかる費用
・不動産登記制度や登記方法
・売買代金の送金方法や送金のタイミング
特に、米国は不動産取引価格がオンラインで気軽に手に入れることができ、不動産業者の他にもエスクロー会社が取引に介在するなど、システムが整備され透明化されています。日本独自の制度を理解してもらうため、細かい説明だけでなく、税理士・司法書士といったパートナー(専門家)の協力も重要なため、不動産業者・仲介側が担う役割や負担はとても大きいものと思います。
今後、IT化による不動産市場データベースの活用や、オンライン上での情報源・専門家とのマッチングなど、更なる情報整備と効率化が求められているのではないでしょうか。
賃貸住宅新聞記事 2018 12月より
山本 淳一 (Yamamoto Junichi)
株式会社リアルエステートジャパン
シニア・セールス・コンサルタント
ニュージーランドの大学を卒業後、帰国。外国人向けメディア会社・株式会社ジープラスメディア(現在フジサンケイグループ)にてWeb広告営業を担当。バイリンガルの強みを活かし、外国人向けにインバウンドビジネスを展開する日本企業と外国人とをつなげるWebプロモーションで実績をあげる。その後株式会社リアルエステートジャパン(現在フジサンケイグループ)の立ち上げのメンバーとして、現在も不動産会社への営業をはじめ、セミナーやITサポートなどに携わる。
他の部署が多国籍チームで編成される中、日本人が半分以上のチームに所属。会社の中でも、日本企業の目線から外国人ユーザーとの架け橋を担う。